先日Twitterで我が家の24時間換気の施工不良疑惑についてツイートしました。
このツイートの後、プロの方を含めて色々とご意見をいただきました。
今回の内容を施工会社へ問い合わせし、回答をいただきました。
また今後の対応についてもご連絡をいただきましたので、ブログにてまとめさせていただきます。
我が家の24時間換気システム
まず、我が家で採用している24時間換気システムについて軽くご説明させていただきます。
我が家の24時間換気システムは
三菱のロスナイという「第一種全熱交換型ダクト式」の換気システムです。
ロスナイというと壁付けが一般に有名かと思いますが、我が家のは天井埋め込み型の製品です。
第一種というのは、簡単に言うと換気の給気と排気のどちらもをファンによって風量制御しているシステムで、
全熱交換とは、冬なら温まった湿度のある部屋の空気を捨てる時に外の冷たく湿度の低い空気の外と部屋の空気をミックスして、
家に入ってくる新鮮な外の空気を少し温めて湿度も家の中に戻すというシステムです。
それでは早速、本題に移りたいと思います。
施工不良の状態
それでは、本題の今回の施工不良疑惑についてお伝えしようと思います。
概要
事の発端は24時間換気システムのフィルター掃除をしている時でした。
フィルターを掃除しているときに何となく換気システムの取扱説明書をネットで探し、読んでみようと思いメーカーHPを見ていたところ、
据付工事説明書を見つけたので、何の気なしに読んでみました。
すると、ページの一番初めの大きく「注意」と書かれているところに

・本体及びダクト配管は断熱層・気密層の室内側に設置する
断熱層の室外側では熱回収した空気温度の低下や結露が発生する原因
との記載があり、また別のページにも

・本体及びダクト配管は断熱層・気密層の室内側に設置する
断熱層の室外側では熱回収した空気温度の低下や結露が発生する原因
と同じ注意の記載がありました。自分の記憶では換気システムが気密層の室外側という記憶があったので、
施工時に記録していた写真を見返してみました。

こちらが施工中の写真となります。
簡単に解説するとオレンジ色のフィルムが防湿気密シートと言われる気密ラインを作っているフィルムです。
黒いテープは気密テープという気密シートの継ぎ目に貼って気密層を連続させるためのものです。
そして、天井の手前側の白く見えるところが24時間換気システムが埋め込まれているところになります。
天井の奥側の425という数字の見える断熱材が埋め込まれているところは天井点検口になります。
この写真から変わる通り、オレンジのフィルムの室外側(屋根裏側)に換気システムの本体があることがわかります。
ということは。。。
という流れからこのツイートにつながりました。
この施工によってどんなことが問題でリスクがあるのかまとめると
本施工の問題点
*メーカー指定の施工指示通りの施工ができていない
*機器本体が室外側に設置されている
この2点が大きな問題点になると思います。
これに付随して、現場管理監督の施工時の問題点等もありますが、直接的な問題点はこれらになると思います。
本施工による起こりうるリスク
- 無断熱による本体の結露
- 上記、結露によって壁内結露の天井ver. が発生し結露水が構造材を腐らせたり、断熱性能を低下させる
- 構造材が腐ることによって、シロアリの発生し、耐震性能の低下させる
- メーカーの指定する施工以外に方法によってメーカー保証を受けられないリスク
- 熱交換換気の本体が室外空間に設置されることによって本体が冷えて、熱交換効率の低下を起こす
以上、5点のリスクが考えられます。
即時的に発生するリスクと長期放置によって発生するリスクとありますが、
現状で考えうるリスクはこれらになるかと思います。
施工会社への問い合わせ
施工会社の認識と見解などを伺うべく、問い合わせをしました。
問い合わせ内容としては
*説明書の記載に「本体とダクト」は「室内側」に設置するとあるが、天井断熱の屋根裏に設置されているが、
これは施工上、及び運用上の問題はないのか
*説明書の記載と違う今回の施工でもメーカー保証は受けられるのか
という2点について問い合わせをしました。
数日後、設計担当から電話があり、そこで回答をいただきました。
頂いた回答の内容をまとめると
*天井裏への設置に関しては、いつも行っている通常通りの施工方法で間違いはありません。
*施工方法に関しては指摘の通りに、本体を天井裏への設置は説明書とは違う施工方法となっています。
しかし、メーカーと協議の上で、施工方法を確認しており、メーカー保証を受けられる仕様になっています。
*その要件として、ダクトは断熱ダクトを使用し、本体上部に断熱材を被せて施工することになっています。
ということで、
メーカーの説明書とは施工方法が違いますが、本体上部に断熱材を施工することでメーカー保証が受けられる
とのことでした。
とりあえずは一安心といったところで、最後に担当者からひと言…
「断熱材の施工は基本的に大工さんが行っており、稀に忘れていることがあるので、
念のためですが、近日中にお伺いさせていただき、一度点検をさせていただきたいと思います。」
親切な設計担当さんで助かりました。
見ていただけるということであれば、丁度、一年点検を控えているので、その時でも構いませんよとお伝えさせていただき、
電話は終了いたしました。
指摘事項そのものは間違いではなく、指摘は合っていたが、施工不良ということではなく少し安心しました。
ぬかりなく、確認されている点は素晴らしいと思いました。
その後の対応
ということで、
施工会社からの回答をいただき、早速その次の日に我慢できずに天井点検口から換気システム本体の上部を覗いてみました
熱交換器の確認
天井点検口から覗いてみると…残念ながら断熱材は施工されておりませんでした。
稀に忘れてしまったのが我が家に当たってしまったようです。脱衣所とファミクロにある2基とも…
1種換気が標準なので、施工に慣れていないというのは考えにくいですが、忘れてしまうことも人間ですのでありますね(笑)
ともあれ、まだ1年目ということで、結露等が発生していたとしても大事には至っている可能性も少なく、
強いて言えば、熱交換効率が大幅に落ちていたことくらいでしょうか?
ということで、急に断熱材を施工していない現状の熱交換効率が気になり、ビフォーアフターで比較してみることにしました。
室内給気口にスイッチボットを仕込み、外気と室温から熱交換効率を簡易計算してみます。
熱交換器のカタログスペックとJIS規格
我が家のロスナイの実運用の熱交換効率の計算の前に前提条件として整理します。
本体型式:VL-11ZFHV
メーカーの三菱電機のHPから自己適合宣言書の準拠規格から「JIS 8628:2003」に準拠するとありました。
また、同じくHPに上記規格に準拠する試験成績書がありましたので見てみると、
熱交換効率のカタログスペック
風量「強」で「80%」
風量「弱」で「85%」
熱交換効率の試験数値
風量「強」で「77%」
風量「弱」で「81.5%」
許容範囲はカタログ公表値の90%が規格基準となっております。
では、次に 「JIS 8628:2003」 の温度の熱交換効率の測定条件をまとめます。
暖房
室温 20℃(±1℃)
外気 5℃ (±1℃)
で計測します。

上記条件で測定したものが 試験成績書 の数値となります。
ということは室温20℃の時、熱交換効率が風量「強」の場合だと「77%」となるので、
室内給気口の吹き出し温度は約15℃となります。
これらを前提条件として、いよいよ我が家の実運用における熱交換効率を計算したいと思います。
1種換気の熱交換効率の計算
教えていただいたのは「torikaj」さん
計算式はコチラです。
(給気温度−外気温度)÷(室温−外気温度)
これを元に換気風量「弱」で外気温5℃に時間で簡易計算をしてみると
(10.8℃ – 5℃) ÷ (24.5℃ – 5℃) = 0.29
熱交換効率が約29%でした。複数の日時でサンプリングしても±5%くらいの範囲でした。
また、外気が0℃まで冷え込んだ日で計算すると21%でした。
この時の熱交換機本体が置いてある天井裏の室温は8.7℃とほぼ外気と同じ温度です。
熱交換器がほぼ外気の気温で冷やされていることによって室内の空気をリターンしてもほとんど熱交換ができていないことがわかりました。
逆に日中の一番外気温の高い時間で計算してみると75%(±5%)という結果でした。
この時の天井裏の室温はリビング室温より-3℃とほぼリビングと同じ室温でした。
以上の結果から明らかに外気(天井裏の室温)に影響を受けていることがわかります。
よって、メーカーの指定している施工方法の本体及びダクトを室内側に設置するというのは非常に重要な要素となります。
また、上記の例に挙げた外気0℃の時の室温は24.7℃湿度42%でしたので、露点温度は約11℃となります。
確実なことは言えませんがだ結露リスクが高い状態にあるということには違いないと思います。
内心、快適性を上げるための贅沢品と分かっていて導入しているのに、
この熱交換効率はどうなんだろうかとモヤモヤしました。
とりあえずは施工会社の対応を様子見したいと思います。
今後の予定
今後の予定としては、おそらく12月中くらいに施工会社の担当の方が調査に来られると思います。
その場で、見ていただき断熱材がないことは明白ですので、その場で今後の協議をしたいと思います。
また、あまり疑ってかかるのは良くありませんが、もし断熱材の施工忘れではなく、
習慣的に断熱材を施工していないということであれば、計測結果を元に今後の施工の見直しの提案をしたいと思います。
大きなお世話ではあるかもしれませんが、個人的には自分の建てた施工会社を自信を持って知人などに薦めたいという思いがあり、
そのために、自分が欠陥であると思うことを隠してオススメすることは到底できません。
仮に施工忘れということだとしても、再発防止は徹底していただくべきだと思います。
JIOなどの定期点検では天井点検口は項目にありませんので、基本的には施主からの指摘がなければ誰も気づくことなく、
「熱交換型の換気でも給気口からの空気って少し冷たいよね」
と、なってしまうと思います。
それで済めばいいものの結露が発生し、天井断熱材や木材へと浸食し、シロアリ被害等にもつながりかねません。
贅沢品を入れたつもりが、返って家の寿命を縮めるなんてことは目も当てられないと思います。
少し大袈裟な部分はあるかと思いますが、やはり今回の件は少し悲しい気持ちになりました。
施工時に自分が気づけていればという落ち度もありますし、人の作るもので完璧というのは難しいのも承知しています。
ただ、今後の対応というところでしっかりと挽回し、信頼回復をしてくれると信じています。
家づくりを検討中の方で工務店をお探しの方は下記のリンクからもしよろしければ、資料請求をしてみてください。

今回はここまでになります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今後も一施主の発信として、より多くの方に高性能住宅というものを知っていただく機会とそれを手にしていただく一助となれれば幸いです。
コメントや感想などをいただけると今後のテーマにさせていただいたり、自分自身の発信の励みになります。是非、よろしくお願いします。
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