家づくりを始めると様々な疑問が生まれると思いますが、その一つにハウスメーカーと工務店の違いがあると思います。
家づくりを始めたころの自分のイメージは、
ハウスメーカーは値段が高そう、安心安全、保障やサポートがしっかりしてる
こんなイメージでした。
工務店は安くて、施工力はピンキリ、古臭い、つぶれないか心配
こんなイメージでした。

やっぱ、金銭面を考えないなら、ベストはハウスメーカーかな
という、イメージを抱いていました。
今回は、ハウスメーカーと工務店の違いを具体的に紹介して、それぞれの得意,不得意を解説しようと思います。
ハウスメーカー(または工務店)で建てると検討している方で、
なぜハウスメーカー(または工務店)で建てたいのか理由を具体的に説明できる方は多くないと思います。
そこからさらに、その根拠が本当に正しいのかまで勉強されている方は少ないと思います。
最終的にどんな人にハウスメーカーが向いて、どんな人に工務店が向いているのか
どっちで建てるか決めている人は再確認のために、最後まで読んでいただければと思います。
固定概念を壊すきっかけになると思います。
そして、誤解のないように最初に自分のポジションを明確にしておきます。
自分はどちらかと言えば工務店で家づくりをすることをオススメしたいと考えています。
もちろん条件付きではあります。
それら条件となぜオススメできるのかも紐解きながら解説していきます。
施工会社の種類
住宅の施工会社には規模などに種類があります。
ただし、具体的に明確な区分けがされているわけでなく、ニュアンス感で分けられています。
呼び方もそれぞれで具体的な呼び名があるわけでもありません。
- 大手ハウスメーカー
- 中規模ハウスメーカー
- ビルダー
- 工務店
- フランチャイズ
以上の様に色々な名称があります。
ここではわかりやすいように大規模な施工会社をハウスメーカー、地元に根ざした小規模な施工会社を工務店と定義して進めさせていただきます。
前提として、ハウスメーカーや工務店という括りの中にも施工会社それぞれの価格帯やセールスポイントなどがあるので、括りの中でも違いや例外もあるということで読んでいただければと思います。
ハウスメーカー
ハウスメーカーが売るのは独自開発のパッケージ化された商品で、パッケージ化することによって、
契約までの時間短縮化や大量発注のスケールメリットなどの強みを作っています。
戦後、住宅不足解消の国の政策に基づいて、大量供給を目的として住宅のパッケージ化をしました。
これによって住宅を「安い、早い、安心」の牛丼のような家を作り始めました。
そこから高度経済成長期を経て、ハウスメーカーが独自路線を歩み、オリジナルの商品やサービスを
展開するようになりました。
得意とメリット
- サービスが手厚い
- アフターフォローを面倒見てくれる
- 誰に言っても自慢できるブランド力
- 規格化のためデザイン性が外れにくい
- 独自商品、独自設備がある
- 倒産リスクが少ない
- 耐震性能は一定の安心感がある
- 国の基準を満たす性能の担保
- 契約までのスピード感
- 建物引き渡しまでの工期の短さ
- 工場生産品の部分には品質の安定性
- 今の不動産市場ではリセールが高くなりやすい
- 住宅ローンや火災保険など各種提携サービスがある
不得意とデメリット
- 建物価格が高い
- 独自工法のため他業者がリフォームなどしにくい
- 長期保証のためには指摘箇所を修繕し続けなければ保証を受けられない
- パッケージ外のことをすると対応不可または割高なコスト
- 間取り設計の自由度が低い
- 丁寧に時間をかけた設計
- 地域や土地の特性、気候や風土に合わせた設計
- 太陽に素直な光熱費削減を考えたパッシブ設計
- 次世代基準を考えた気密断熱性能(性能推しHMを除く)
工務店
次に工務店ですが、これに関しては「一概に言えない」のこの一言に尽きます。
ピンからキリまで様々な工務店があり、その中のどこに頼むかで全く変わってきてしまいます。
ただ、当たり前ですが、キリの家の作り手に率先して施工をお願いしたい方はいないと思います。
ですので、工務店については、ピンの作り手(スーパー工務店)を前提としてお話をしたいと思います。
ただ、先ほどもお伝えした通り、工務店はピンキリがありますので、
ハウスメーカーにはない前提条件があります。
この前提条件さえ、攻略できる方は是非、工務店で建てていただくと
より理想的な家づくりになると思います。
前提条件
- 家づくりに対して勉強の意欲がある(温熱性能、耐久性、耐震性)
- 工務店選びにじっくりと時間をかけられる(最低1年以上~)
- 自分たちの希望する性能に見合ったお金の資金力がある
これらを前提にして、家づくりをできる方は工務店で検討してみてください。
ピンキリの工務店の中からピンの作り手(スーパー工務店)に出会えた方は
間違いなくオンリーワンの最高の家づくりができます。
スーパー工務店とハウスメーカーの違い
ピンの家づくりをしている工務店(スーパー工務店)とハウスメーカーを比較したいと思います。
分かりやすいようにハウスメーカーのメリットとデメリットに対して、
スーパー工務店を重ねてみようと思います。
得意とメリット
ハウスメーカーの得意とメリット | 工務店 | 備考 |
サービスが手厚い | 〇 | *ライフプランニング、資金計画などもフォロー |
アフターフォローを面倒見てくれる | ◎ | *ハウスメーカーのような囲い込み保証ではない |
誰に言っても自慢できるブランド力 | × | *老若男女からの認知は難しい |
規格化のためデザイン性が外れにくい | × | *規格化ではなくオンリーワンの工務店ごとの色 |
独自商品、独自設備がある | △ | *造作家具など柔軟な対応力と工務店ごとの特色 |
倒産リスクが少ない | 〇 | *スーパー工務店は財政面も健全がところが多い |
耐震性能は一定の安心感がある | 〇 | *100%耐震等級3の取得をしているところが多い |
国の基準を満たす最低限の性能の担保 | ◎ | *HEAT20 基準でG2,G3が当たりまえ |
契約までのスピード感 | × | *ハウスメーカーのようなクロージングはほぼない |
建物引き渡しまでの工期の短さ | × | *ライン製造ではなく、現場施工のため工期は長い |
工場生産品の部分には品質の安定性 | △ | *工場生産ではないが、腕のある職人の確かな施工力 |
不動産市場ではリセールが高くなりやすい | △ | *今の不動産市場では未評価だが、将来的可能性はある |
不得意とデメリット
*ここでの「×」は不得意やデメリットには当てはまらないという意味になります。
ハウスメーカーの不得意とデメリット | 工務店 | 備考 |
建物価格 | × | *建物スペック対するコスパと生涯コスト |
独自工法のため他業者がリフォームなどしにくい | × | *オープン工法のため廃業しても他社で可 |
長期保証を受けるためのルールが厳しい | × | *長期保証はないが家守として一生の付き合い |
標準外のことをすると対応不可or割高なコスト | × | *標準仕様がそもそもないことも 柔軟な対応可 |
間取り設計の自由度が低い | × | *ハウスメーカーより明らかな自由度がある |
丁寧に時間をかけた設計 | × | *設計打ち合わせ回数や変更など柔軟な対応可 |
地域や土地の特性、気候や風土に合わせた設計 | × | *地元ならではの熟知した設計が可能 |
太陽に素直な光熱費削減を考えたパッシブ設計 | × | *パワープレイではなく太陽に素直な設計可能 |
次世代基準を考えた気密断熱性能 | × | *時代に取り残されない超長期的性能 |
ハウスメーカーが向いてる人
ここまでをまとめて
私が考えるハウスメーカーに向いてる人を考えてみました。
施工会社選びの考え方の一つにしてみてください。
- 家づくりに時間をかけたくない人
- 特徴的な強いこだわりがない人
- 家そのものについて基本的な勉強をしたくない人
- ブランド志向が強い人
- 資金援助の条件になっている人
- 転勤などて数年で家を手放す可能性が高い人
- 子供の入学等で早く注文住宅で家が欲しいなど急ぐ理由がある人
- お金が潤沢にあって値引きを期待しない人
- 面倒くさがりでお金よりもあらゆるワンストップ対応をしてほしい人
上記の中でも特に①,③,⑥,⑦に当てはまる方で、それら条件を最重要にしている人は、
ハウスメーカーで建てることを本当にオススメいたします。
工務店が向いている人
逆にどのような人が工務店に向いているのでしょうか?
もちろん、上記のハウスメーカーに向ている人という項目に当てはまらない人はもちろん
その他にも以下に当てはまる人は工務店に向いていると思います。
- こだわりの一棟を建てたい人
- ハウスメーカーというブランドに興味のない人
- 光熱費を無理なく抑えた生活で余分な固定費を下げたい人
- 家づくりを住まいにかかる生涯コストで考えたい人
- 最低、30年以上はその住まいに住み続けたいor住み継ぎたいと考えている人
- 時間的制約が絶対ではなく、それよりゆっくりと落ち着いた家づくりをしたい人
- 何十年先にも時代に取り残されない快適に暮らすための性能が欲しい人
- 省エネや環境に興味があったり、オフグリッドという暮らし方を将来的にしたい人
- 家が好きで、家を大切にできる方
高性能住宅というのは、知らずに暮らしてもその恩恵の大半をに受けることは可能です。
ただ、個人的には住まうからにはその性能を存分に引き出してほしいなと思います。
高性能住宅は建てただけでは快適な暮らしは完成しないのです。
住まい手が空調や換気、その他の維持メンテナンス等々を行って初めて本領が発揮されると思います。
どんなに良い家でも住まい手の暮らし一つで寿命を延ばすことも縮めることもできます。
そういった意味では、家を大切にできる方でないと高性能住宅は宝の持ち腐れになるやもしれません。
是非、ピンの作り手であるスーパー工務店で建てるチャンスのある方は、
建てて終わりではなく、住まい方ということにも目を向けて家づくりをしていただければと思います。
我が家の基本性能が気になる方は是非こちらも読んでみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
他にも我が家の気になる基本性能があれば、問い合わせをいただければ回答いたします。
今後も一施主の発信として、より多くの方に高性能住宅というものを知っていただく機会とそれを手にしていただく一助となれれば幸いです。
コメントや感想などをいただけると今後のテーマにさせていただいたり、自分自身の発信の励みになります。是非、よろしくお願いします。
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